糖尿病で傷が治りにくい(創傷治癒遅延)のはなぜ? medical column
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糖尿病で傷が治りにくい(創傷治癒遅延)のはなぜ?
糖尿病によって傷が治りにくい…というのは一般によく知られていることですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?糖尿病によって引き起こされる症状、合併症はさまざまであり、糖尿病の方やその予備軍の方は正しい知識を得て、予防や治療に役立てることが大切です。
今回は、船橋市にあるつばさ在宅クリニック西船橋(内科)より、糖尿病で傷が治りにくいのはなぜか?という点をテーマにお届けしていきますので、ぜひご覧ください。
糖尿病とは?
糖尿病はインスリンが十分に働かないために、ブドウ糖が有効に使われず、慢性的に血糖値が高くなってしまう病気です。
糖尿病の症状
糖尿病の症状としては、
・疲労
・皮膚の乾燥
・感染症にかかりやすい
・多飲多尿
・目がかすむ
・傷が治りにくい
などが挙げられます。糖尿病の初期や予備軍では自覚症状のないまま進行していき、深刻になるにつれて合併症を引き起こします。また、血糖値が高い状態が続くことで、血液をドロドロにしたり、血管を傷つけたりして、さまざまな負担が血管にかかります。
糖尿病で傷が治りにくい(創傷治癒遅延)のはなぜ?
糖尿病で傷が治りにくいと言われている理由には、血流障害、神経障害、免疫機能低下のそれぞれが関わっています。糖尿病は感染症にもかかりやすいというのはご存じの方も多いかと思いますが、これも免疫力の低下によるものです。
血糖値が高い状態が続くと、病原体を殺す白血球を中心とした免疫システムが弱くなり、抵抗力が弱まります。ささいな傷でも炎症を起こすなどして、治るまでに時間がかかってしまうのです。また、神経障害として、痛みを感じにくくなり、傷そのものに気づけないことで対処が遅くなってしまうことも傷が治るまでに時間がかかる原因となっています。
そのほか、動脈硬化によって血管が細くなると血流が悪くなり、傷が治るために必要な酸素や栄養が十分に行き届かなくなる点もその理由となっています。
怪我には注意すること
高血糖の状態は抵抗力を落として細菌感染を起こりやすくなり、また、傷に気づきにくい状態であるため、怪我には十分注意しなければなりません。特に、心臓から遠い足の血流は滞りやすく、足の傷をきっかけに足の組織が壊死してしまう場合があります。
ですので、糖尿病の進行が気になる方は、裸足で歩かない、爪は切りすぎない、自分の足に合った靴を履く、足を清潔に保って日々観察をする、といったフットケアが重要になってきます。
また、傷を作ってしまった場合には、自己流で対処するのではなく医療機関を受診することが大切です。
なぜ糖尿病は継続的な治療が必要なのか?
糖尿病の方は継続的に薬を服用したり、食事療法をおこなっていくこととなりますが、なぜそれが必要なのでしょうか?それは、糖尿病が風邪のように一時的なものでなく、薬を服用したからといって、糖尿病そのものが治るわけではないためです。
血糖のコントロールを続けていくことが、症状の進行を抑えたり、合併症予防につながりますので、治療を途中で辞めずに向き合っていきましょう。
まとめ:糖尿病で傷が治りにくい(創傷治癒遅延)のはなぜ?
いかがでしたか?今回の内容としては、
・糖尿病で傷が治りにくいのは、血流障害、神経障害、免疫機能低下が関わっているため
・血糖値が高い状態が続くと、病原体を殺す白血球を中心とした免疫システムが弱くなる
・糖尿病の神経障害によって、傷そのものに気づけないことで対処が遅くなってしまうこともある
・血流障害によって、傷が治るために必要な酸素や栄養が十分に行き届かなくなる
以上の点が重要なポイントでした。